マネジメントシステムのお手本
ISOマネジメントシステム規格とは
ISO(国際標準化機構)では,どんな国のどんな規模のどんな種類の組織(会社)でも使える「マネジメントシステムのお手本」を作っています。それが「ISOマネジメントシステム規格」なのです。
ただし経営課題はいろいろなものがありますから,それをすべてひとつにまとめることは大変だし現実的ではありません。
そこでISOでは経営課題ごとにそれを取り扱うマネジメントシステムをそれぞれ作りました。
経営課題のうち製品やサービスの質を取り扱うものがISO9001,環境に関連する要素を取り扱うものがISO14001,情報セキュリティはISO27001,労働安全衛生はISO45001といった具合で,自分の会社の「マネジメントシステムをちゃんとしたい」分野の規格を選んで利用することができるようになっています(もちろん全部利用してもかまいませんよ)。
マネジメントシステムを構築する?
ISO9001やISO14001の要求事項には「この規格の要求事項に従って・・・〇〇マネジメントシステムを確立し・・・」とありますから,つい「ISO9001やISO14001の要求事項を満たすマネジメントシステムを作らなければならないんだ」と思ってしまいがちですが,マネジメントシステム自体はどの会社にも既にありますから,新しく作る必要はありませんし,作ってはいけません。
ISO9001やISO14001は「マネジメントシステムのお手本」ですから,それと自分の会社のマネジメントシステムを照らし合わせてみればよいのです。
ISOのマネジメントシステム規格は「お手本=理想の組織」を表しているので,ほとんどの会社は足りない部分や弱い部分があるはずです。
規格と自分の会社の仕組みやルールを比較して「この要求事項はうちの会社の場合はここだな」と見ていくと,意外にあいまいなところがあるものです。
そこで足りない部分を追加したり,弱い部分を補強したりして,より「理想のマネジメントシステム」に近づけていきましょう。
もっとも,会社のマネジメントシステムがISO9001やISO14001の要求事項を満たしているか確認し,そして足りない部分を追加したり,弱い部分を補強したりするわけですから,会社のマネジメントシステムが現状どうなっているかがわからないといけません。
これは「自分の会社の経営の仕組み,ルールを正しく理解する」またとない機会にもなります。
そして会社のマネジメントシステムが,ISO9001やISO14001の要求事項をすべて満たすようになったら,それが「この規格の要求事項に従って・・・〇〇マネジメントシステムを確立」したことになるのです。
追加,補強ポイントは会社によって違います
例えばISO9001はその会社の製品やサービスの質を取り扱うマネジメントシステム(品質マネジメントシステム)ですが,会社の運営方法や仕事のやり方は製造業,建設業,飲食業やサービス業といった職種によって大きく異なりますし,同業他社でも全く同じではありません。
ISO9001は「国際規格」なので,前にも書いたように「どんな国のどんな規模のどんな種類の組織(会社)でも使える」ように作られています。なので,品質に関する要素がすべて要求事項として「~しなければならない」と書かれていますが,それらを全部完璧な仕組みにする必要はありません。でも「うちの会社(業種)はここはとても大事だ」というところもあるはずです。
ぜひ自分の会社に合った「理想のマネジメントシステム」を目指してください。
マネジメントシステムを理解したら次のステップへ
もしマネジメントシステムを理解することなしに「マネジメントシステムを構築し,認証を取得する」ということイコール「要求事項をひとつずつクリアすれば良い」と思い込んでいたらどうなるでしょうか。
「ひとつひとつの要求事項について新しくルールを作り,それを今のルールと置き換えていく」または「一から新しいマネジメントシステムを作り,会社のルールとは別に認証取得のために運用する」なんてことをしてしまいがちです。
そんなことをしまったら混乱を招き,手間がかかって仕事の効率も落ち,みんなのモチベーションも上がりません。
そして「ISOは役に立たない!」「もうやめたい!」になるのです。
最初から「ISOは会社の運営の仕組みやルールを追加,補強するものだ」と思っていれば,少なくともそんなことにはならないでしょう。
最初にやるべきことが「マネジメントシステムを正しく理解する」ということがお分かりいただけでしょうか。
次にやるべきことは「ISOを使って何をしたいのか」を明確にすることです。
次回はこのお話をしたいと思います。